lemon

7年間。

心から愛した人。

一目見て、肌が触れた瞬間に魂が震えた。

お互いに言葉も必要なく、ただお互いの存在を愛しく思い過去も未来もない《今》にいた。

今、この瞬間だけが真実。

離れていても、会えなくてもいつも心はそばにあることを互いに感じた。

ただ、ただ、この人が幸せであるように。と願った。

同じ時代に生きていられることを幸せに思った。

 

年月が経過し、少しずつわたしの心と身体は毒を飲み、じわじわと蝕まれていた。

どこかに、後ろめたさは常にあり正直者の私を追放した。

それでも、彼がいてくれた7年間。

私は救われた。

生きる意味を見失い、この先どこでどうやって生きていったらいいか途方にくれていた時。

彼は道を間違わないように、道しるべになってくれていた。

 

愛することを教えてくれた。

愛されることを教えてくれた。

 

この関係にも徐々に終わりが近づいているのを感じながらも、必死で彼に追い付こうともがいた。

彼のようになりたいと。

わたしはわたしでしかないのに。

彼にはなれないのに。

 

彼からの無言のさよならは突然だった。

 

また今年も、いつものように電話が鳴り『おう!元気か?』と甘い優しい声を当たり前に聞けると思っていた。

 

無言の彼の声。

私にはよく聞こえる。

半年が立ち、彼からの電話を待つのを止めた。

私から連絡するのも止めた。

 

今、私たちは別々のレールにいる。

あの時、ほんの一時交わったこと。

いつか、優しい思い出にできるよう。

私は私の道をいく。

 

少しずつ、わたしを取り戻しつつある。